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連続合成桁に対するケミカルプレストレス導入効果の実験的検討

中本 啓介、石川 敏之、細見 雅生

 当社技術研究室で継続して研究しているケミカルプレストレスに関する報告。 長岡技術科学大学長井正嗣教授、岩崎英治助教授にご指導いただき、同大学との共同研究として、床版のひび割れに対するケミカルプレストレスの効果について実験を行った。

1. ケミカルプレストレスとは、膨張コンクリートを使用してコンクリートに圧縮力を与えることで、コンクリートのひび割れを抑制する。
2. これまでの実験では、ケミカルプレストレスの導入量とひび割れが発生する荷重の関係を検討して、その効果を検証してきた。
3. 今回の実験では、ケミカルプレストレスを導入することで、ひび割れ幅やひび割れ間隔についても改善できることが確認できた。

また、1999年10月にコンクリートを打設した長期計測中の実験桁について載荷試験を行い、ケミカルプレストレスの効果が施工後1年以上経過しても持続していることを検証した。

キーワード:ケミカルプレストレス 部分合成 ひび割れ 長期計測実験

2主鈑桁の基本的耐風性に関する研究

木場 和義、細見 雅生、小林 紘士

 当社技術研究室で継続して研究している橋梁の耐風性に関する報告。
合理化橋梁として実績が増えている2主鈑桁は、箱桁形式に比べてねじり剛性が小さく、断面形状が風による影響を受けやすいことから、立命館大学小林紘士教授にご指導いただき、同大学との共同研究として、基本的な耐風性を検討するために風洞実験を行った。
実験の結果、対象とした橋梁では、ねじれ発散振動と渦励振が問題となることがわかった。

キーワード:2主桁橋 風洞実験 断面形状 耐風対策 渦励振

梁端部の溶接欠陥が梁の塑性変形性能に及ぼす影響

吉村 欽也、横山 幸夫、伊藤 裕彦

鉄骨柱梁接合部の溶接始終端に固形L型エンドタブを使用した時に発生しやすい溶接欠陥の評価方法に関する報告。
本研究は、神戸大学田渕基嗣教授、田中剛助教授にご指導いただき、同大学との共同研究として行うとともに、実施にあたっては、(社)鋼材倶楽部「2000年度建築鋼構造研究奨励金制度」、AW検定協議会(東日本)の援助を受けた。

キーワード:静的載荷実験 柱梁溶接接合部 溶接欠陥 塑性変形能力 脆性破壊

桁用TMDの開発

幽谷 栄二郎、木場 和義、細見 雅生、小川 路加、新田 吉伸

当社技術研究室で継続して研究している橋梁の制振に関する報告。
当社ではこれまで風による橋梁の渦励振に有効な制振装置として、水平振動に対するTMD(Tuned Mass Damper)を開発して、斜張橋の塔制振用に実用化しているが、今回、鉛直振動が問題となる上部工における箱桁用のTMDを開発した。
このTMDの特徴は、TMDを構成するバネとダンパーをTMDの仕様に合わせて製作することが可能で、最適な条件で設計することで、装置全体を軽量化して、橋梁本体の補強を含めた全体コストを抑制することができる点があげられる。

キーワード:TMD(Tuned Mass Damper) 桁橋 渦励振 制振対策 オイルダンパー

京都南道路木津川橋における合成化の検討

玉田 和也、真嶋 敬太、長谷川 敏之

国土交通省京都国道工事事務所から受注した「木津川橋」について、ライフサイクルコスト(LCC)を縮減して、より合理的で耐久性に優れた橋梁とするために橋梁形式を発注時の「上下線一体構造6径間連続非合成箱桁」から「上下線分離構造6径間連続合成開断面箱桁」へ形式を変更した。

「開断面箱桁」
床版を箱桁の上フランジとすることで、上フランジの鋼部材断面を小さくした箱桁。
合成床版やPC床版を使用して腹板間隔を広げることができる。

「LCC」
構造物の耐用期間中に係るコストの総額で、建設費、管理費、維持補修費、取り壊し費の総和から算出する。

キーワード:連続合成桁 開断面箱桁 鋼・コンクリート合成床版 ライフサイクルコスト

大洲高架橋の設計・施工

小川 路加、神原 康樹、小沼 定博、高橋 秀樹

JH四国支社から受注した「大洲高架橋」は、支間長の長い中央径間を鋼4主鈑桁、側径間をPRC中空床版とした「鋼・PRC3径間連続混合橋」であり、鋼桁とコンクリート桁の接合部となる「複合部」の設計・施工を行うにあたり、種々の検討を行った。

「混合橋」
鋼とコンクリートを組み合わせて力学特性や経済性を向上させた橋梁で、本橋の場合、側径間に比べ中央径間が長い支間割となるため、桁全体の断面力や端支点の反力を改善することを目的に、中間支点を含む中央径間を重量の軽い鋼桁、側径間を重量の重いPRC桁としている。

キーワード:混合橋 FEM解析 温度解析 温度応力解析

第404工区(江辻)高架橋の設計・施工

有村 英樹、東 博年、長谷川 敏之、今林 弘一、三上 秀明

福岡北九州高速道路公社から受注した「江辻高架橋」は、3径間連続鋼床版箱桁であるが、鋼製中間橋脚と上部工を剛結した上下部一体構造であることや国道201号上に位置すること、JR香椎線、多々良川と交差することなどから、設計、架設について種々の検討を行った。

キーワード:3径間連続鋼床版箱桁 剛結構造 架設時解析

第501工区(横手)高架橋(仮称)の亜鉛・アルミニウム金属溶射の施工

板橋健一、庄山修

福岡北九州高速道路公社から受注した「横手高架橋」は、床版に合成床版を採用するとともに外面部防錆処理に亜鉛・アルミニウム擬合金溶射を採用して、LCCの縮減を考慮した橋梁である。
摩擦接合面にも溶射を行うため、すべり係数確認試験を実施して、溶射面のすべり係数が摩擦接合に必要な0.4以上あることを確認した。

キーワード:金属溶射 MS工法 粗面化処理 封孔処理

IABSE会議に参加して

小川路加

2001年6月に韓国ソウルで開催されたIABSE(国際構造工学会)に参加して、当社と立命館大学小林紘士教授で共同研究を行っている斜張橋の制振システムに関する研究成果を発表した。
なお、この制振システムは、「斜張橋におけるアクティブテンドンコントロール」として、特許を取得している。

キーワード:IABSE 長大橋 吊橋 斜張橋

最適設計プログラム(OPDESプラス)の紹介

玉田和也

長岡技術科学大学 林名誉教授にご指導いただき、トラス橋、アーチ橋、斜張橋など立体骨組構造物を対象にした最適構造解析プログラム「OPDES(OPtimun DESign program)」を改良して、概略設計業務に使用できるプログラムである「OPDESプラス」を開発した。

「OPDES」では、鋼重が最小となるような最適断面寸法を求めることができる。
「OPDESプラス」では、工数算出を行うなど、実務に適したプログラムとした。
このプログラムを使用することで、より複雑な構造形式の橋梁に対しても、概略設計や経済比較検討を行うことが容易になる。

キーワード:最適構造設計 立体骨組解析

新設した構造実験棟の紹介

細見雅生

当社富津工場内に建設した「構造実験棟」についての紹介。

1300kN(約130tf)まで動的載荷、5000kNまでの静的載荷が可能な載荷設備を備える。
動的載荷試験を行うことで、道示改訂で盛り込まれている疲労設計に対する実験的な検討、検証を行うことができる。

キーワード:構造実験棟 動的載荷試験機 静的載荷試験機 試験室