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連続合成桁へのケミカルプレストレスの適用に関する研究(第2報)

岡田幸児,細見雅生

近年、合理化・省力化を実現させるための橋梁形式として少数主桁連続合成桁が注目されており、種々な改善案が提案されている。本研究はプレストレスの導入の方法として、膨張コンクリートを使用したケミカルプレストレスの連続合成桁への適用について検討を行っている。
すなわち、ケミカルプレストレスを設計上の数値として積極的に取り入れる方法とその効果について実験的検討を行った。
今回、連続合成桁の中間支点部を想定した実験桁を製作し、膨張コンクリートによるケミカルプレストレスを導入して載荷実験を行った。実験により、連続合成桁へのケミカルプレストレスの適用について、その基本的な特性が検討できた。また、ケミカルプレストレス使用の有効性を確認した。

鋼斜張橋箱桁断面の空力特性

小川路加,木場和義

斜張橋は多々羅大橋に代表されるような長大橋のみに限らず、中規模橋梁や歩道橋にも数多く採用されている橋梁形式である。ところが、斜張橋はフレキシブルな構造形式であるため、支間長が小さい場合を除いて、その耐風安定性が問題になることが多い。
本研究では、中央径間280mの中規模な鋼斜張橋を想定し、主桁(偏平な逆台形鋼床版箱桁断面)の2次元部分模型を用いた風洞試験により、その主桁断面の空力特性について検討を行った。その結果、適切なフェアリングを設置することにより渦励振を抑制することができることがわかった。また、レイノルズ数によりたわみ渦励振の応答振幅が影響を受けることもわかった。
今後、橋梁断面に対するレイノルズ数の影響について体系的に検討する必要があると考えられる。

二方向力を受けるコンクリート充填角形鋼管柱— 鉄骨梁接合部の力学的挙動に関する研究

吉村鉄也,横山幸夫,小林光博

コンクリート充填鋼管柱(CFT)は、鋼管柱にコンクリートを充填することによりその耐力および変形能力が増大するものである。現在、このCFTの構造特性および耐火性に関する研究が各分野で積極的に行われている。本研究では、CFTについてコンクリートの充填性および溶接組立箱形断面柱(Box柱)の施工性に着目し、CFT柱−鉄骨梁立体部分骨組架構の二方向載荷実験を行った。そして、(1)二方向載荷を考慮した接合部の局部全塑性耐力は降伏線理論により良好に評価でき、また、局部最大耐力は崩壊機構を仮定した耐力評価方法により推定できる。(2)二方向載荷を考慮した接合部パネルの降伏耐力について、既往の耐力評価方法に充填コンクリートの負担耐力を加えることによりほぼ良好に評価できる。
など、CFT柱製作の合理化を図るための基礎資料を得た。

鶴川大橋拡幅工事の設計

玉田和也,真嶋敬太,長谷川敏之

中央自動車道では、上野原IC~大月JCT間20.7㎞を現在の4車線から6車線に拡幅する工事を進めている。その一環である鶴川大橋の拡幅工事は、既設橋と新設桁を一体化することにより片側2車線から3車線に拡幅する工事である。
鶴川大橋は橋長約484mの上下線分離構造であり、その橋梁形式はバリエーションに富み、連続トラス橋、合成鈑桁橋、非合成鈑桁橋および切断合成鈑桁橋など9橋から成っている。拡幅する新設桁は、それぞれの橋梁形式に応じて拡幅ステップを考慮し、設計を行った。また、既設橋は昭和40年代の設計・施工であるため、拡幅後に既設部で発生する応力度についても照査を行った。

宇美川大橋リニューアル工事

村上佳市,高瀬和男,藪下 勲

福岡高速4号線の延伸工事において、宇美川大橋では既設の市道を高速道路として供用するためのリニューアル工事が行われた。本工事における補修・補強の基本方針としては、将来の維持管理におけるライフサイクルコストを重視して、今後30年間程度は大規模な足場を必要とするような補修を行わなくても済むことを目的とした。これに対し、過去の事例において損傷が激しく、補修工事が多く行われている鉄筋コンクリート床版や塗装に関しては、現状の損傷状況が軽微であっても今後の損傷を予測して十分な補修を行った。また、各部位の補修状態の統一を図り、補修時期のサイクルをあわせることも目的とした。これに対し、現在損傷が少なく比較的健全であった桁本体については最小限の補強にとどめた。一方、将来の損傷が懸念される鉄筋コンクリート床版や塗装塗り替えに関しては、炭素繊維シートによる床版補強やアルミニウムと亜鉛の擬合金を用いた常温金属溶射などを行った。

常吉大橋の完成時現地振動実験

木場和義,小川路加,篠田隆弘

常吉大橋は、塔が1基の斜張橋としては国内最大規模のものであり、地形的制約などから非対称性が強調された構造的・景観的特徴を有している。本橋では、そのスレンダーな主桁断面形状と構造的特徴から耐風安定性が問題とされ、設計時に完成系および架設系の風洞実験が実施された。
今回、耐風安定性検討における基本条件としての動的特性を実橋で確認すること、および、供用後の維持管理のためのデータを得ることを主目的として、現地振動実験を実施した。その結果、本橋の動的特性は耐風安定性検討時の仮定条件を満足していること、また、剛性および衝撃係数について設計条件は安全側であり妥当なものであることを確認することができた。車両走行による照明柱やケーブルの共振も認められなかった。

横川砂防公園吊橋(仮称)の風洞実験

幽谷栄二郎,細見雅生

横川砂防公園吊橋(仮称)は、横川砂防公園内(宮城県刈田郡七ヶ宿町大字横川地内)に現在施工中の人道吊橋である。本橋は、隣接するキャンプ場と現在建設中の横川砂防公園内山間の遊歩道を結ぶ橋梁として計画され、ランドマークとしての役割も合わせて考えられている。また、架設位置は蔵王連峰の麓の谷あい部であり、風光明媚なところとして知られている。
本橋は、支間長が120mであり、無補剛吊橋としては比較的規模の大きなものである。桁部分については、幅員2.220m、桁高0.260mと偏平な断面となっている。このような本橋の形状と現地の風環境などの条件から、桁断面が空気力学的に不安定なものであると考え、風洞実験により桁断面に対する空気力学的制振対策の検討を行った。その結果、床版中央部に幅600mmのグレーチング、および、外縦桁に鉛直プレートを設置することとした。

床版の打設順序検討プログラムの開発

有村英樹,石川敏之,神原康樹

一般に、連続桁のコンクリート床版はブロック打設工法により施工され、ある施工段階においては、床版コンクリートに有害な引張力が発生する可能性がある。そのため、床版の打設順序の決定には、充分な検討が必要となる。このことに対し、床版の打設順序を検討するためのプログラムを開発した。
本プログラムは、床版打設に関して打設順序と最低所要日数についての検討を効率的に支援するものである。断面諸量の入力、平面骨組解析、打設順序の決定など一連の作業を対話形式で処理することとしている。さらに、移動形枠の使用やジャッキアップ・ダウンの効果も考慮し、既打設ブロックと鋼断面との逐次合成効果、乾燥収縮およびクリープの影響を反映し、最適な床版打設順序の決定を支援するものである。

コンクリート床版の移動形枠の製作

林 勝樹

従来のコンクリート床版の形枠支保工には、ペコビームなどの全面固定支保工が用いられてきた。しかし、床版支間長が大きい場合は、非常に大がかりな支保工が必要になり、特に床版施工後の支保工解体が困難になる。これに対し、形枠および支保工をあるブロックで組み立て、それを移動しながら床版を施工しようという発想が生まれ、移動形枠を用いた施工法が見られるようになった。
現在、当社において移動形枠を設計製作中であり、第二東名高速道路に建設される中之沢橋(広幅員のコンクリート床版を有する2主鈑桁橋)に使用するものである。平成12年8月頃に工事現場で使用する予定である。予定どおり進めば、第二東名高速道路における鋼橋では移動形枠による最初の床版施工開始となる。